米国が連邦機関でDeepSeekを禁止。報道によれば、DeepSeekを基にした製品も対象です。あなたのプロダクトは何でできていますか

Surya Pratap
By Surya Pratap

2026年10月20日

8 min read

AI & Technology
2つに分かれた図。左側は、2026年10月19日に連邦調達サプライチェーン・セキュリティ法に基づいて公表された、DeepSeekに関する米国の命令です。連邦の文民機関はHangzhou DeepSeek Artificial Intelligenceの製品を撤去し、今後は取得しないことが求められます。報道によれば、DeepSeekの技術やモデルを使って作られた他社の製品やサービスも対象です。民間企業の利用は禁止されておらず、例外には60日前の通知とやむを得ない正当な理由が必要です。右側は、スタートアップにとっての問いを、プロダクトのレイヤーとして示したものです。アプリ、呼び出しているAPIやホスト、使っているモデル、そしてそのモデルが何からファインチューニングや蒸留で作られたか。命令がどのレイヤーまで及ぶかは、まだわかっていません。問題はレイヤーの中にあるHover to explore
1社のモデルに対する禁止が、自分で直接選んだわけではないレイヤーも含め、スタックのすべてのレイヤーへの問いに変わります。

ほとんどのAIプロダクトは、1つのモデルだけを使っているわけではありません。メイン機能にはホスト型のAPI、安く済ませたい処理にはオープンウェイトのモデル、誰が選んだか覚えていない埋め込みモデル、そしてチームのエディタにはコーディングアシスタント。そのうちのいくつかは、別のモデルからファインチューニングや蒸留で作られています。今週公表されたDeepSeekに関する米国の命令は、多くの創業者にとって、そのすべてについて説明を求められる最初の機会になるでしょう。

本記事は、CyberScoop、Security Magazine、PYMNTS、Tech Insiderの報道と、それらが伝える国土安全保障省の発表に基づいています。筆者は連邦官報(Federal Register)の告示そのものは読んでおらず、細部では報道どうしで食い違いがあります(後述)。第3節以降は筆者の見解であり、法的助言ではありません。

1. 命令の内容

DHSは2026年10月19日、2018年の連邦調達サプライチェーン・セキュリティ法に基づき、Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligenceとその関連会社を対象とする命令を発表しました。報道によれば、連邦の文民機関に次のことを求めています。

  • DeepSeekの製品を情報システムから撤去すること
  • 今後、取得しないこと

CyberScoopによると、例外を認めてもらうには60日前の通知と「やむを得ない正当な理由」が必要です。命令の対象は文民機関で、国防総省は対象外と報じられています。告示は今週、連邦官報に掲載される予定でした。

DHSのマリン長官は「複数の脅威ベクトル」を挙げました。たとえば「中国にあるサーバー上のデータ。中国の国家安全保障法は、中国政府がデータを要求し入手する広い裁量を与えている」こと、個人情報やデジタル指紋の収集、そして「プロンプトと応答」の過程を通じてデータが中国政府に渡ることです。報道では、モデルを通じてマルウェアや脆弱性が持ち込まれるリスクも挙げられています。

この命令は、民間企業がDeepSeekを使うことを禁止していません。

2. ベンダーにとって重要な条項

CNBCとPoliticoが報じたDHSの情報を引用する複数のメディアによれば、この命令は政府機関が**「DeepSeekの技術やAIモデルを使って開発された他社の製品やサービス」**を購入することも禁じています。そうであれば、これまでの限定的な制限に残っていた抜け穴がふさがれます。たとえ何層も離れていても、DeepSeekのモデルで動くベンダーのチャットボット、コーディングアシスタント、要約ツールが対象になるということです。

ただし、すべての報道が同じではありません。CyberScoopは、DeepSeek自身の製品の禁止を伝える一方で、他社製品、自社でホストするオープンウェイト、ファインチューニング、蒸留の扱いは明示されていないとしています。告示の本文を丁寧に読むまでは、次のように整理するのが誠実でしょう。

  • 報じられていること: DeepSeekのモデルを基にした他社製品も対象になる。
  • 不明なこと: 自社でホストするオープンウェイト、DeepSeekからファインチューニングしたモデル、DeepSeekの出力から蒸留したモデルまで含まれるのか。

1社のモデルに対する禁止が、自分で直接選んだわけではないレイヤーも含め、プロダクトのすべてのレイヤーへの問いに変わります。

3. 政府に販売しないスタートアップにも関係する理由

あなたは連邦政府機関に販売していないかもしれません。しかし、連邦のルールに従うことが多い買い手が3種類あります。

  • 政府の請負業者: これらの要件を、自社のベンダー審査にそのまま持ち込みます。
  • 規制業種の企業: 銀行、医療、重要インフラなど。セキュリティチームは、連邦の排除措置を最低ラインとして扱います。
  • 州や地方の政府: この命令の前から、いくつかの州がすでにDeepSeekを制限していました。

これらのいずれかに販売するスタートアップなら、次のセキュリティ質問票で何を聞かれるかは簡単に予想できます。あなたのプロダクトは、DeepSeekのモデルを使っているか、あるいはそれに依存しているか。 難しいのは、正直に答えることです。

4. 答えるのが見た目より難しい理由

「いいえ」と答えるには、すべてのレイヤーでそれが成り立っていなければなりません。

  • 呼び出しているAPI: 推論プロバイダーやモデルルーターの中には、DeepSeekのモデルをほかのモデルと並べて提供しているものがあり、ルーターはコードを変えなくてもモデルを切り替えられます。
  • 自社でホストしているオープンウェイトのモデル: 広く使われているモデルの中には、DeepSeekのリリースをファインチューニングしたものや蒸留したものがあり、その系譜がモデルカードにしか書かれていないこともあります。
  • チームのツール: エンジニアのエディタに入っているコーディングアシスタントやエージェントは、プロダクトが使っていなくても、DeepSeekを使う設定になっているかもしれません。
  • ベンダー: 組み込んでいる文字起こし、検索、サポートのツールが、あなたからは見えないモデルで動いている可能性があります。

DeepSeek V4-FlashやQwen3.8-Maxのガイドでは、オープンウェイトのモデルが価格と品質の面で魅力的な理由を解説しました。この命令は、ほとんどの民間利用についてその判断を変えるものではありません。変わるのは、一部の顧客に対して証明できなければならないことです。

5. 今月やるべきこと

モデルの一覧を作る。 本番で使っているモデルごとに1行。名前とバージョン、提供元またはホスト、実行場所、プロダクトでの役割、そして何からファインチューニングや蒸留で作られたか。メインのLLMだけでなく、埋め込み、リランキング、音声のモデルも含めます。

モデルをコードで固定する。 ルーターやアグリゲーターを使っているなら、「利用可能な最良のモデル」ではなく機能ごとに明示的なモデルIDを指定し、どのモデルが各リクエストを処理したかを記録しましょう。自分で選んでいないモデルが、質問票への回答に紛れ込むことがあります。

モデルの切り替えを安く済むようにする。 プロンプト、評価、ツール定義を特定の提供元に依存させず、ある顧客のためにモデルを差し替えるのが、作り直しではなく設定変更と評価の実行で済むようにします。差し替えたモデルが機能することを示せるよう、評価セットを用意しておきましょう。

ベンダーとツールを確認する。 組み込んでいるAIベンダーに、どのモデルを使っているか、それが予告なく変わりうるかを尋ねましょう。チームがコーディングツールで使ってよいモデルを決めておきます。規制業種の顧客向けのコードでは特に重要です。

次に届く質問票に、今から答えておく

短く誠実な説明を今のうちに用意しましょう。プロダクトがどのモデルを使っているか、どこでホストされているか、何から派生したか、顧客のデータが約束した地域の外に出ないか、そしてどのモデルでもどれくらいの期間で差し替えられるか。これは、FTCがOpenAIとAnthropicに求めた要求のように、規制当局がほかの文脈でも求め始めているのと同じ種類の記録です。

顧客がDeepSeekを使っていないプロダクトを必要としているなら、スタック全体が見えていなければ、そう約束することはできません。必要としていない場合でも、顧客が何を受け取るのかを正確に伝えられます。セキュリティチームが求めているのは、たいていそれです。

6. 筆者が言い切らないこと

スタートアップがDeepSeekの利用を禁止されたとは言えません。 命令が適用されるのは連邦の文民機関とその調達です。民間での利用は禁止されていません。

自社ホスト、ファインチューニング、蒸留のモデルが確実に対象になるとも言えません。 報じられている文言は広いものですが、報道どうしで食い違いがあり、判断する前に告示の本文を読む必要があります。

日付が確定しているとも言えません。 CyberScoopは命令が6月に出され、すでに数か月有効だと報じていますが、7月とする報道もあります。連邦官報への掲載日は10月20日とも21日とも報じられています。

DeepSeekのモデルを動かすこと自体が危険だとも言えません。 この命令は、政府が評価したサプライチェーンとデータアクセスのリスクに関するものです。特定のモデルの重みについての技術的な結論ではありません。

まとめ

DHSは、連邦調達サプライチェーン・セキュリティ法に基づき、データが中国政府に渡るリスクを理由として、連邦の文民機関にDeepSeek製品をシステムから撤去し、今後購入しないよう命じました。複数のメディアは、DeepSeekのモデルを基にした他社製品も対象になると報じていますが、自社ホスト、ファインチューニング、蒸留のモデルにどこまで及ぶかは、まだはっきりしていません。民間企業の利用は禁止されていません。

スタートアップにとって長く残る影響は、DeepSeekだけの話ではありません。連邦のルールに従う買い手は、プロダクトの中にどのモデルが入っていて、それがどこから来たのかを尋ね始めるでしょう。そして「APIが使っているもの」というよくある答えでは、通用しなくなります。

今月中に、プロダクトとチームのツールに含まれるすべてのモデルを、それぞれ何から作られたかも含めて書き出してください。コードでモデルを固定し、どのモデルが各リクエストを処理したかを記録し、どのモデルでも数日で差し替えられるようにしておきましょう。

出典:CyberScoop— 連邦調達サプライチェーン・セキュリティ法という根拠、DeepSeek製品の撤去と取得停止の義務、文民機関に限られた対象範囲、例外のための60日前の通知、DHSのマリン長官による脅威ベクトルの説明、同誌が伝える6月という発出時期、そして他社製品、自社ホスト、ファインチューニング、蒸留のモデルは明示されていないという指摘。Tech Insider— CNBCとPoliticoによるとされる「DeepSeekの技術やAIモデルを使って開発された他社の製品やサービス」という文言、同誌が挙げる7月という発効時期、国防総省が対象外であること。Security MagazineとPYMNTS— 10月19日の発表と命令の範囲に関する報道。第3節から第6節は筆者の見解であり、法的助言ではありません。

IdeaToMVP Academy

Want to build with AI — not just read about it?

4-week live cohort for founders. Learn to ship AI agents, scope MVPs, and automate your business — taught by the same team that writes these guides.

Explore the Academy →
Share this post :