AI 研修は今年2倍以上に増えた。それでも従業員の56%には、受講するための勤務時間がない

2026年10月1日
9 min read

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企業の AI 研修についてのこれまでの記事は、プログラムの中身を扱ってきた。残るスキルギャップ、生まれる不安、置き去りにされる管理職。9月最終週に公表された三つの調査は、もっと基本的なことを指している。研修はもう存在する。それを受ける時間が、ほとんど存在しない。
数字は、Workera の 2026 State of Skills Intelligence Report(2026年9月23日)、The Next Web が報じた PwC の 2026 Global Workforce Hopes and Fears Survey(2026年9月29日)、Businessolver の State of Workplace Empathy 調査(2026年9月29日)による。三社ともこの分野で製品やサービスを販売しており、その点は第6節で触れる。第3節以降の解釈は筆者のものである。
Workera は2026年7月、従業員5,000人超の米国企業に勤めるフルタイムの正社員1,000人 を調査し、2025年3月に800人を対象に行った同様の調査と比較した。
その間に、二つの数字が大きく動いた。
2026年5月から6月に 48の国と地域の49,364人 を対象に行われた PwC の世界調査も、同じ方向を示している。64% が過去1年に職場で AI を使い、前年より10ポイント増えた。生成 AI を毎日使う人の割合は 14% から 22% に上がった。
どの指標で見ても、従業員に提供される AI 研修は増え、AI の利用も増えている。
同じ調査は、何が追いつかなかったかも示している。
Workera の回答者の 56% は、業務時間内に AI スキルを身につける時間がないと答え、84% は分野を問わず学習に週5時間以下しか使っていない。
PwC の調査では、必要な学習や能力開発にアクセスできる人の割合が 59% から 51% に下がった。PwC が「エンジンルーム」と呼ぶ、希少なスキルも AI 経験も乏しい最大のグループ(労働者の56%)では、これが 40% だった。
経営幹部300人と従業員1,000人を調査した Businessolver によれば、従業員の 49% が AI を自力で何とかするしかなかったと答えた。Workera によれば、上司から定期的にコーチングを受けているのは 27% にとどまり、22% は個別のコーチングをまったく受けていない。
Workera の回答者の 59% は、AI スキルは昇進や配置で他と同等か、まったく考慮されないと答えた。43% は、スキルを誤って評価されたせいで機会を逃したと答えている。
自分の時間で、評価もされず、伴走する人もいないまま受ける講座は、研修プログラムではない。ただの読書リストだ。
1年前の明らかな問題は供給だった。大企業の従業員の大半は、AI に特化した研修を提供されていないと答えていた。それはおおむね解決した。提供されている人の割合は2倍以上になった。
解決していないのは、そうした提供の多くの前提にある想定だ。学習は勤務時間の外のどこかで行われる、という想定である。実際には夜を意味し、つまり大半の人にとっては行われず、残りの人にとっては不均等に行われる。
PwC の分類は、その不均等がどこへ向かうかを示している。すでに AI を毎日使っている人は、雇用への自信が高く(あまり使わない人の 57% に対して 68%)、経営陣をより信頼し、新しいスキルを身につけられるとより強く信じている。アクセスのない人はさらに遅れる。PwC のグローバル・ワークフォース・リーダーである Peter Brown は率直にこう述べた。「世界の労働力が異なる速度で動き始めているという、現実のリスクがある」
時間を伴わない研修の提供が生むのは、この結果だ。どのみち学ぶ人は学ぶ。プログラムが本来対象とした人は学ばない。
Businessolver の調査は、居心地の悪い結果を付け加えている。調査対象の経営幹部の 27% は、人員削減によるコスト削減を AI の主要な目標に挙げている。そうした幹部のうち、AI のリスキリングを優先しているのは 18% にすぎず、それ以外の幹部では 35% だった。
同社の最高 AI 責任者 Sony SungChu は、問題をこうまとめた。「AI はそれだけでは価値を生まない。スキルと自信を与えられたとき、人が価値を生む」
内側から見れば、その論理はわかりやすい。AI で人員を減らすつもりなら、残る人に投資するのは計画と逆のことに見える。だが効率化が実現するのは、残った人がツールをきちんと使いこなせる場合だけだ。AI の予算を捻出するために研修予算を削れば、AI を機能させる部分そのものを取り除くことになる。
今四半期に AI 研修を購入または設計するなら、調査は、多くのプログラムが書き漏らしている四つのことを仕様に入れるよう示唆している。
確保した時間を書面にする。 1人あたり週何時間を勤務時間内に充てるかを、プログラム開始前に各参加者の上司と合意する。必要な時間数を答えられないプログラムは、範囲がまだ定まっていない。
実際の仕事で学ぶ。 参加者がすでに担っている業務をもとにした演習にすれば、学習時間がそのまま実務も前に進める。AI で作成し、確認した定例レポートは、研修であると同時に成果物でもある。
動画ではない伴走者を置く。 上司から定期的にコーチングを受けているのは27%にすぎない。参加者の成果物をレビューする特定の人、つまりその役割の準備をした上司やファシリテーターをプログラムに組み合わせ、実践にフィードバックが返るようにする。
評価を目に見える形にする。 59%が AI スキルは昇進で考慮されないと言うなら、研修を任意のものとして扱うのは合理的だ。修了を、レビュー済みの成果物、変更されたプロセス、人事評価の一項目といった、目に見えるものに結びつける。
私たちのものを含め、どのプログラムにも当てはめる価値のある試金石がある。提供者に、参加者1人あたり何時間の勤務時間が必要かを尋ね、その時間を本当に確保できたかを自問すること。 どちらかの答えがあいまいなら、そのプログラムは、多くの人が受けられない提供がまた一つ増えるだけになる。
どの情報源にも売りたいものがある。 Workera はスキル測定を、Businessolver は福利厚生テクノロジーを、PwC は人材関連のコンサルティングを販売している。三つの結果が同じ方向を指していることは心強いが、それぞれの発表の切り口は発行元に都合のよいものだ。
Workera のサンプルは米国の大企業のみである。 従業員5,000人超の組織の1,000人。前年比較は、800人と1,000人という異なる二つのサンプルの比較である。
どの調査も、時間と成果を結びつけていない。 Workera の発表は、学習時間を確保された人がより熟達したことを示していない。時間が重要だというのはほかの数字からの妥当な推論であり、測定された結果ではない。
「業務時間内に時間がない」は自己申告である。 回答者の中には、そうと認識していない空き時間がある人もいるかもしれない。この数字は従業員が研修の提供をどう受け止めているかを表しており、それ自体は重要だが、勤怠記録ではない。
私たち自身のプログラムは、ここでの証拠にはならない。 私たちが参加者の実際の業務を軸に研修を設計するのは、それが学習時間を生産的な時間に変える方法だと考えているからだ。これは設計上の選択であり測定された成果ではない。そして、あなたのチームに時間を与えることは私たちにはできない。それができるのはあなただけだ。
企業はこの1年、AI 研修の供給の問題に取り組み、おおむね解決した。研修を提供される従業員の割合は2倍以上になった。提供されなかったのは、それを実際に受けるための時間、伴走、評価だ。
結果は予想どおりだ。自分の時間でも学んだであろう人は学び、さらに先へ進む。研修を買った目的である大多数の人は学ばず、PwC が描く「異なる速度で動く」労働力の差は広がる。
AI 研修をさらに買う前に、時間を確保すること。勤務時間の内に収まるプログラムは、収まらないより優れたプログラムよりも多くの人に届く。
出典:Workera、"AI Training More Than Doubled This Year, but 56% of Employees Report No Time at Work to Build the Skills"、2026年9月23日。2026 State of Skills Intelligence Report。従業員5,000人超の米国組織に勤めるフルタイムの正社員1,000人を2026年7月に調査し、2025年3月の800人と比較。25%から58%、40%から68%、56%、84%、27%、22%、59%、43%の数字は同発表の記載どおり。PwC、2026 Global Workforce Hopes and Fears Survey、48の国と地域の49,364人、2026年5〜6月。"PwC survey of 49,000 workers finds most are falling behind on AI skills"、The Next Web、2026年9月29日、および PwC の発表 による。64%、14%から22%、59%から51%、40%、エンジンルームの56%、68%対57%の数字と、Peter Brown の発言。Businessolver、"New Data Finds Executives Focused on Cutting Jobs for AI Efficiency Are Half as Likely to Invest in AI Upskilling"、2026年9月29日。経営幹部300人と従業員1,000人。27%、18%対35%、49%の数字と、Sony SungChu の発言。発言は本稿では翻訳して引用している。第3節から第5節の解釈は筆者のものである。このシリーズのこれまでの記事は、企業の82%が AI 研修を行い、59%がなおスキルギャップを報告、CHRO の50%は管理職が AI 活用を導けると信頼していない、私たちの企業向け AI 研修の仕様を参照。
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