Meta は Muse Spark 1.3 のトークンが25%減ったと言う。独立した計測では請求額は上がっている

Surya Pratap
By Surya Pratap

2026年9月15日

12 分で読めます

AI とテクノロジー
2つの部分からなる図。左はコストについての2つの説明を並べたもので、Meta のエンジニアが長期のコーディングタスクで Muse Spark 1.2 比おおよそツール呼び出し20パーセント減・トークン25パーセント減と報告しているのに対し、Artificial Analysis は入力トークンの消費が増えたためタスクあたりのコストが55セントに上がったと計測している。トークン単価は入力100万あたり1ドル25セント、出力100万あたり4ドル25セントで据え置きと示されている。右は同じベンチマーク群を2通りで採点したもので、今日購入できる Xhigh 構成と、安全性試験のため限定プレビューにとどまる最大推論構成が並び、GDPval の Elo が1,709対1,754、OSWorld が57.2対66.9、JobBench が61.2対64.9となっており、2列目には発表資料で使われた構成だという印がついているコストの説明は2つ、請求書は1つHover to explore
1回あたりのトークンが減ることと、1回あたりの文脈が増えることは別の主張だ。実際に届く請求書で測られるのは片方だけである。

Meta は2026年9月2日、Muse Spark 1.3 を Muse Code と Meta Model API に投入した。この発表には効率化の話とベンチマークの話があり、どちらも二度読む価値がある。どちらかが嘘だからではなく、どちらも創業者が当然そう受け取るであろう意味とは少しずれているからだ。

1. 何が出たのか

公開時点の Muse Spark 1.3

本日から利用可能。重みは非公開

  • Muse Code と Meta Model API に搭載され、すでに本番で呼び出せる。Muse Code は macOS か Linux にコマンドラインから入れる。
  • コンテキストウィンドウは100万トークン。
  • トークン単価は 1.2 から据え置き。入力100万あたり1.25ドル、出力100万あたり4.25ドル、キャッシュ済み入力100万あたり0.15ドル。
  • 0.10 / 0.20 ドルのコントリビュータ料金があり、こちらは自社のデータが学習に使われることを許諾するものだ。
  • 重みは非公開。 Meta はオープンウェイト版 Muse Spark の公開をロードマップに挙げているが、バージョンも日付もライセンスも示していない。

このうち2点は本当に良い知らせだ。100万トークンの窓は、たいていのコードベースで「収まるのか」が日々の問いでなくなる程度には大きい。そして能力を上げながらトークン単価を据え置いたことは、たいていそうしない市場にあって実質的な譲歩である。

2. 効率化の主張を、正確に書くと

Meta の見出しは、1.3 が Muse Spark 1.2 より ツール呼び出し約20%減、トークン約25%減 というものだ。

この正確さが効いてくる。これらの数字は Meta のエンジニアが長期のコーディングタスクで行った評価 から出ている。ベンダー内部の比較であり、ベンダーが選んだワークロード上のものだ。捏造ではなく、監査もされておらず、そして必ずしもあなたのものではない。

文字どおり読めば、聞こえるより狭い主張でもある。彼らが測った作業の単位あたりで、呼び出しが減りトークンが減った、ということだ。あなたの請求額が下がるかどうかは、Meta が報告しなかった量に左右される。残った呼び出しの一つひとつが、どれだけの文脈を運んでいるのか、である。

3. それでも請求額が上がりうる理由

独立して計測した Artificial Analysis は、広く利用できる構成で タスクあたりコストを0.55ドル と測り、トークン単価が据え置かれているにもかかわらず 1.2 比でタスクコストが上がったと報告している。入力トークンの消費が増えたためだ。

この2つの結果を並べても矛盾はしない。同じ変化の別々の半分を述べている。

呼び出しが少なく大きくなることは、一方の尺度では効率の改善であり、もう一方の尺度ではコストの増加だ。1手ごとに深く考えるモデルは、手数を減らし、そのぶん毎回多くを読む。

これは文脈税と同じ算術である。エージェントの作業はモデルが読んだものに課金されるのであって、考えるために何回止まったかではない。呼び出し回数を減らす代わりに1回あたりの文脈を積むハーネスは、見出しの数字がすべて改善しながら、合計では多く消費しうる。

モデルの発表で必ず求めるべき数字

トークン単価は入力であって、結果ではない。乗り換えの判断を決められる唯一の数字は、自社のワークロードにおけるタスク1件あたりの完了コストだ。再試行も、失敗した試行も、各呼び出しが運んだ文脈も含めた実行全体である。Meta が出したのは効率の比率で、Artificial Analysis が出したのはタスクあたりコストだった。両者が逆を向いているとき、経理に届くのは後者のほうだ。

4. そのベンチマークがどの構成で走ったかを読む

ここは報道の多くが平らにしてしまった部分であり、スコア表の読み方が変わるところだ。

Muse Spark 1.3 は2つの構成で評価されている。片方は今日買える。もう片方は買えない。

現在広く利用可能

Xhigh
GDPval-AA v2 1,709 Elo · OSWorld 2.0 57.2 · JobBench 61.2 · DeepSearchQA 89.4 · Terminal-Bench 2.1 89.2 · Artificial Analysis Intelligence Index 61 · タスクあたり 0.55 ドル · 出力毎秒 235.2 トークン。本番のトラフィックが実際に当たるのはこの構成だ。

限定パートナープレビュー

Max
GDPval-AA v2 1,754 Elo · OSWorld 2.0 66.9 · JobBench 64.9 · Artificial Analysis Intelligence Index 62。Meta はこの構成について "still completing additional safety testing" であり "shortly" 提供されるとしている。現時点で API 提供者は一つも掲載されていない。

この差は見た目だけの話ではない。OSWorld 2.0 では 9.7ポイント——57.2 対 66.9——であり、その最大構成は購入できないまま発表資料で前面に出ていた。

厳密に言えば誰も欺いてはいない。構成にはラベルがついている。しかし比較表に目を走らせた創業者は Muse 列の最も高い数字を読み、いま自分が動かしているものと比べるだろう。そしてその比較は、コンピュータを操作することに最も近いベンチマークで、およそ10ポイントぶん狂っている。

経験則として、モデルの発表では各列がどの構成で走ったかを示す注記を探し、購入できない行をすべて消してから比べること。

5. コントリビュータ料金は価格の判断ではなく、データの判断だ

最も考える価値がある価格の行は、最も得に見える行である。

標準は100万トークンあたり 1.25 / 4.25 ドル。コントリビュータ料金は 0.10 / 0.20 ドル——入力でおよそ 12倍、出力で21倍安い——その代わりに、自社のデータが学習に使われることを許諾する。

製品前の個人的な試作であれば、ほぼ無料の推論であり、迷わず「はい」でよい。顧客データが関わるものなら、まったく別の問いになる。そしてそれは主にコストの問いではない。

差し出す権利のあるデータではない

その1
その呼び出しを顧客のコンテンツが通るなら、条件に同意しているのはあなたで、データを提供させられているのは顧客だ。割引が判断を代わりにしてしまう前に、自社の利用規約が第三者による処理と学習利用について何を約束しているかを確認すること。

後戻りが難しい

その2
料金を切り替えれば、今後の提供は止まる。すでに送ったもので学習を終えたモデルが元に戻るわけではない。この料金は、そこを通過したすべてについて一方通行の扉だと考えること。

デューデリジェンスで必ず出る

その3
「どの料金体系で、それは何を許諾していたのか」は、企業のセキュリティ審査でも買収の場面でもごく普通の質問だ。売上前のバーンレートに対する12倍の節約は、あとでその答えを説明する重さに比べれば小さい。

これらは、この料金体系が悪いという話ではない。Meta はこの取引について、割引付き推論の多くの提供者より明示的である。ただ、その判断は推論の請求書を見ている人ではなく、自社のデータに関する約束を持っている人のところにある、というだけだ。

6. 1.3 は代替案の中でどこに位置するか

文脈を3点、いずれも留保つきで。

スループットは劣る。 出力毎秒235.2トークンで、Muse Spark 1.3 は Gemini 3.8 Flash よりおよそ 30%遅い。対話的なコーディングでは体感するが、夜間のバッチ処理ならほぼ関係ない。

重みは非公開、そのロードマップは計画ではない。 Meta はオープンウェイト版 Muse Spark を「より大きなモデル……など」の中に挙げているが、バージョンも日付もライセンス条件もない。いずれ自前でホストする前提の設計なら、この一文は土台にならない。8月にオープンで出たハーネス群と比べてほしい。あちらは移植性が将来の意向ではなく製品そのものだった。

ベンチマークの広がりは、強いところでは本当に強い。 Terminal-Bench 2.1 が 89.2、DeepSearchQA が 89.4、長文脈の検索が256K〜512Kで 98.5、512K〜1Mで 98.1。私が最も重く見るのは最後の対だ。100万トークンの窓全体で検索品質がほぼ平坦であることこそ、大きな文脈が「ただ大きい」ではなく「金を払う価値がある」になる条件だからである。

数字について1つ開示しておく。1.3 の Terminal-Bench 2.1 の公表値は出典によってわずかに異なり、Artificial Analysis の表では 89.2、他所では 88.8 となっている。丸め水準の差で判断には影響しないが、出典が食い違うときはそう書くのがこの家のやり方だ。

7. 判断のための試験

いまエージェントによるコーディングのワークロードを動かしているなら、これは読み物ではなく2時間の実験である。

私なら実際にこう評価する

比較はトークンあたりではなく、完了タスクあたりでなければならない

  • 自社のバックログから実際のタスクを10件選ぶ。 ベンチマーク問題ではなく、現状で失敗しているものを少なくとも3件含める。
  • いま使っているもので実行し、入力トークン総数、出力トークン総数、実時間、そしてタスクが本当に完了したかどうかを記録する。
  • 同じ10件を Muse Code 上の Muse Spark 1.3 で実行する。 プロンプトは変えず、ハーネスの設定も同じにする。
  • 成功したタスク1件あたりのコストで比べる。 安く失敗するのは安いとは言わない。これはベンダーにも独立した評価機関にも代行できない比較だ。あなたのコードベースに依存するからである。
  • 料金体系は別に判断する。 そして価格では判断しない。その問いは顧客データに関する約束を持っている人のものだ。

8. 読み込みすぎないほうがよいこと

ベンダー内部の効率の数字は誤りではなく、狭い。 「Meta のエンジニアが長期のコーディングタスクで測った」は開示された方法論であり、多くの発表よりは多くを語っている。それでも彼らのワークロードであり、彼らのハーネスだ。

独立した1回のコスト計測もまた最終結論ではない。 Artificial Analysis は固定のタスク群を走らせる。あなたのリポジトリはその群ではない。タスクあたりコストという枠組みを信用すべき理由は、0.55ドルという具体値ではなく、指標として正しいという点にある。

プレビュー段階の最大推論構成があること自体は普通だ。 安全性試験を挟んだ段階的な公開は妥当な運用であり、ここでの不満は倫理ではなく見せ方の問題である。まだ手に入らない人たちに向けた資料に、その数字が並んでいた。

バージョンが上がることは移行ではない。 1.2 はいまも動き、トークン単価も同じで、そして本番のエージェントを別の長期挙動で調整されたモデルに切り替えれば、どのベンチマークも予測しないかたちでプロンプトの振る舞いが変わる。

正直なまとめ

Muse Spark 1.3 は本物の改善であり、トークン単価を据え置いたまま、すでに使われているハーネスに投入され、100万トークンの窓は端まで検索品質が保たれている。良いリリースだ。

同時に、逆を向いた2つの数字とともに届いている。ベンダーの数え方では作業単位あたりのトークンが減り、独立した数え方ではタスクあたりのコストが上がった。そしてスコア表の最も明るい列は、まだ誰も買えない構成のものだ。どちらもスキャンダルではない。どちらもありふれていて、どちらもまさに、11月の推論の請求額が9月に書いた計画と合うかどうかを決めるものである。

今週、トークン単価は何も教えてくれなかった。自社のタスクにおける完了1件あたりのコストなら、教えてくれたはずだ。

出典: Meta AI Research「Introducing Muse Spark 1.3」 · VentureBeat「Meta says Muse Spark 1.3 has frontier performance — but its best results come from a model developers can't broadly use yet」 · MarkTechPost「Meta AI Released Muse Spark 1.3」 · 約20%/約25%という効率の数字は Meta 自身のもので、同社エンジニアが長期のコーディングタスクで行った評価による。ベンチマークのスコア、タスクあたり0.55ドル、毎秒235.2トークンのスループット、および Xhigh と最大構成の区別は、VentureBeat 経由で Artificial Analysis が報告したものであり、試験時点で最大構成は限定パートナープレビューだった。Terminal-Bench 2.1 の数値が出典によって異なる点は第6節に記した。2つのコストの主張が両立するという読み方、および提言はすべて筆者自身のものである。このモデルが動くハーネスについては、1日違いで出た2つのエージェントハーネスを参照。

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